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吊尾根の残雪と重太郎新道

しばらく愚図ついたお天気が続いていましたが、今日は久しぶりにスカッと晴れました。
数日前からの予報も良かったので、今日のランチタイムの岳沢小屋は大賑わいとなりました。


さて、最近問い合わせの増えてきた吊尾根の残雪の具合を見に行ってきました。
例年よりはかなり雪解けが早くなっていますが、それでもまだ2ヶ所の雪渓のトラバースがあります。
アイゼンとピッケルが必携なのは言うまでもなく、それでも滑ったら間違いなく死ぬ場所なので、我々は念のためにロープで確保しての通過といたしました。

今日は何人かの人が通過を試みたようですが、安全を考慮して引き返した方も多いようです。
まだ来週末くらいまでは雪が残りそうですが、7月に入れば吊尾根の雪の心配は無くなるでしょう。
(穂高岳山荘~涸沢間はまだ残ると思います)

一方、重太郎新道の雪の方はもうほぼ解けました。
小屋からキャンプ場まで、岳沢を横切るところだけはまだ雪がたっぷりありますが、そこは別に危険でもないので気にする必要はありませんし、それ以外ではこの一箇所だけとなります(↓)。ここもアイゼンの必要はもうありません。

というわけで、まだ6月のうちは岳沢から登れる山は前穂のみと考えてください。

さて、その前穂・重太郎新道ですが、言うまでもなく日本屈指の急登です。

穂高という山がどういう山か知っている人がチャレンジするのはおおいに意義のある山だと思うのですが、「初めての穂高」で岳沢から登るというのはできれば止めてもらいたいと思っています。若くて体力のある人ならいざ知らず、それなりの年齢重ねて体力が落ちてきた方が挑むには重太郎新道~前穂~吊尾根~奥穂は相当に厳しい山だということをご承知おきいただきたいと思います。憧れだけでは越えられない山です。

初めて穂高に登る人は遠回りと思うかもしれませんが、涸沢からの往復が間違いないかと思います。
そして、一度穂高を経験して、そのうえでさらに難易度の高い穂高に挑みたいのであればぜひ重太郎新道をチョイスされてください。

岳沢小屋を出てからしばらくすると、もうずっと2時間も3時間もこんな岩場の道が続くのが重太郎新道です。(これは道ではないという人もいるくらいです)

今日はそんな険しい重太郎新道の脇にかわいい黒百合が咲いていました