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2024年の営業について

槍ヶ岳山荘グループの山小屋を利用される方は必ずご一読ください。

『愛知県の登山者』様へ

 今年の6月、岳沢小屋に設置してある登山道の募金箱に現金50万円が入れられていました。
そこには『愛知県の登山者』様というお名前で手紙が添えられており、こう書かれていました。

”皆さんのおかげで安全に登山ができること、感謝の気持ちでいっぱいです。”
”この寄付金は、これからも多くの登山者が安全に通行できるよう、登山道の修繕費としてだけでなく、是非とも山小屋の維持管理費用にもお役立てください。”
”また利用させていただきます。応援しております。”

 本当にありがたいことです。
多額の寄付をいただいたことだけでなく、こうしたメッセージは私たちにとって大きな励みになります。
ありがとうございます。

 岳沢小屋のスタッフがこの寄付金を見つけた時期はお客様の人数も少なく、宿泊者名簿を探せば愛知県在住の方で特定することは出来るかもしれませんが、確証はありません。
何より、スタッフに手渡しせず匿名で募金箱に入れられた『愛知県の登山者』様のご意向を汲んで、御礼状をお送りする等の直接連絡を取ることは控え、きっとこのブログを見ておられると信じ、この場にて御礼を申し上げます。

 お金の使い道ですが、お言葉に甘えて一部を小屋の修繕費として使わせて頂き、残りを北アルプス登山道等維持連絡協議会に寄付して登山道維持に活用させて頂きます。

 小屋の修繕費については、岳沢小屋管理棟の正面にある石垣が2020年の地震で崩れたままであった為、その修繕に用いる「じゃかご」の購入資金に充てさせて頂きました。

岳沢小屋正面の石垣
従来は赤線の通り石垣がありました

 2020年の春、上高地付近を震源とした群発地震が発生し、コロナ禍による緊急事態宣言下で登山者はおらず幸いにも人的被害はありませんでしたが、登山道や山小屋では多くの被害がありました。
特に岳沢小屋周辺での被害は大きく、至る所で道が崩れ、落石が発生しました。

 これまでは、喫緊の問題である登山道の補修や建物の土台となる石垣の修理を優先的に対応してきた為、岳沢小屋正面の石垣については後回しになってきました。しかし、多くの登山者が訪れる今年は、そのままにしておく訳にはいきません。
そこで、今回寄付して頂いたお金でじゃかごを購入させて頂き、夏山シーズンが始まる前に補修を行いました。

石を運んでいるのは岳沢の女性スタッフ
頑張ってくれました

 なんとか7月中に作業を終えることができ、多くの登山者がいらっしゃる頃には安全にご利用いただけるようになりました。
 

 この場所には今、ブランコが設置してあります。
吊尾根をバックに写真を撮ることができ、登山者の皆さんの憩いの場となっております。

先日いらした「やまたみキッズ」のみんな(再掲)

 登山道の維持に関してですが、寄付して頂いたお金は協議会に入れさせて頂きますので、北アルプス南部エリア全体で活用させて頂くことになります。
ただ、岳沢小屋としても昨年より9番付近の登山道の補修に力を入れており、来年度も継続して行う予定となっておりますので、一部はこちらの予算に充てられます。

来年度の補修予定箇所

 改めまして『愛知県の登山者』様、この度は誠にありがとうございました。
ご寄付頂いたお金は、上記の通り有意義に活用させて頂いております。
もし、名乗り出ていただけるようでしたら、岳沢小屋と北アルプス登山道等維持連絡協議会の会長名(松本市長)で御礼状を送らせて頂きたいと考えておりますので、松本事務所にご一報頂けますと幸いです。

 そしてまたぜひ、岳沢小屋にお出掛けください。
私たちは道を直し、建物を維持してお待ちしております。

槍ヶ岳山荘グループ代表 穂苅大輔