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岳沢点描

入山以来、冬のような天気が続いていましたが、ようやく暖かい春のお天気がやってきました。

今朝は朝食後に岳沢trailの⑤中間地点付近まで下りてみました。
岳沢小屋付近から見る穂高岳は絶景は絶景なのですが、山が近すぎてバランス良くは見えません。
少し下りた、この⑤付近から見る穂高はちょうど良い距離感と迫りくる穂高の岩壁が絶妙。また午前7~8時の時間は光と影が絶妙なハーモニーを生み出してくれます。私の好きな岳沢の風景と時間です。

こちらは少し登った④西穂高展望所から見た西穂高岳。
この真正面の西穂高沢の雪渓はこの時期、多くの登山者が登る人気ルートです。この時間帯なら列をなして登る登山者の姿があるはずなのですが、今日はその姿もトレースも見当たりません。

世間では自粛、自粛…、と自粛の嵐が吹き荒れています。
テレビも新聞もネットニュースも話題はコロナの話し、今は行動を自粛してください、そんな話題ばかり。そんな自粛の呼びかけは国や自治体、地域の役割。テレビや新聞で十分に承知されていることでしょう。
他人は全て感染者と思え! こんな世知辛い世の中でせめてもの癒しが欲しい…、そんな気持ちで開いた山小屋のブログでまで繰り返し行動の自粛を求められたら、皆さんはきっとゲンナリするだろう。
今は行くことができない、事態が収束したらすぐにでも見にいきたい、そんな風景をお届けできればと除雪作業の合間の休憩時間には角度を変えた岳沢や穂高の風景を探して歩いています。

③石階段付近から見たコブ沢とコブ尾根、背後は奥穂高岳山頂
この10年間のGW期間中、このコブ尾根では数々の生と死の攻防が繰り返されてきました。村石さん、あれからもうすぐ3年ですね。今年は誰もお参りに来てもらえないのかな、でもうちの栗原がビールの一本でも持っていきますよ。

②胸突き八丁付近からの吊尾根と南稜・トリコニー
ここでもいろんな生と死のドラマが繰り広げられてきました。
静岡大の彼も今年は花を手向けに来てくれる人は誰もこれないかもしれないね。でも、前の晩に同じ静岡大出身のウチの小屋スタッフといろいろ話していた光景、小屋の石垣の下にテント張っていたことは忘れませんよ。

天狗沢からの前穂高岳と明神岳。
小屋付近からは近すぎてよく見えない前穂も明神も少し距離をおくとよく分かります。
いつもなら朝4時から行列のように奥明神沢を登る登山者。
今日のように天気はいいけど、風の強い日はみんな無事に登れているかな。午後になって気温上昇とともに雪が緩めば雪崩も起きます、今歩いている人は大丈夫だろか、そんな心配をしながら双眼鏡で各ルートを覗き込むことがこの時期の日課でした。

本来なら多くの登山者が訪れるはずだったGWの岳沢、そして誰も来ない今年の岳沢。計画していた人はせめて、自分が見られるはずだった光景がどんなものだったのか知りたいと思うものではないか。
今はいけないけど、いつか必ず行くから、その時その時の季節の流れをせめて見ておきたいのではないだろうか。そんな想いで掲載しています。

もしかしたら5月7日には緊急事態宣言が解除され、再び登山者で賑う5月がやってくるかと思い、除雪作業に勤しんできましたが、それもどうやらダメなようですね。まだ最低一ヶ月は誰も来ない静かな岳沢が続いてしまうようです。

雪に埋まっていた小屋の掘り出しもようやく終わり、急務な小屋開け作業もひと段落。次は夏の営業再開を目指して、少しづつ作業を進めて参ります。