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岳沢雪渓のお話し

先日、小屋の水事情にまつわる雪渓の話しを載せましたが、その続編です。
この写真は2017年の8月29日撮影、水源までのパイプを敷く、現南岳小屋支配人です。
この年は夏の終わりでもこんなに雪があったのです。
この雪渓は岳沢の万年雪とも言われ、上高地からもシーズンを通してよく見えていた雪渓です。
厳密には万年雪ではないのですが、だいたい越年する雪渓だったので万年雪と呼ばれていました。

そして、こちらが今日の様子。
岳沢の谷の最奥にわずかに残るばかりです。

さらに過去の画像を調べて見ると…

2014年の8月24日

2012年は9月26日でもまだこんなに雪がありました。
ところがここ5年ほどは雪渓が顕著に縮小しています、特に今年はその縮小ぶりが極端です。
これが温暖化のせいか、平年偏差の範囲内なのかはわかりませんが、長期間観察していると見えてくるものもありそうです。
この雪渓は小屋の水源ともなっているわけで、当然ながら小屋の運営の死活問題にもかかわってくるので今年のように水不足対策が必要になってきます。
ちなみに小屋の節水態勢は整っているので、利用者の皆さんにご迷惑をおかけすることはないかとおもいますので、ご安心ください。

我々がいつ、その年の雪の多い少ないを判断するかというと、もちろん冬(1~3月)の降雪量も常々気にはかけていますが、目に見えて判断するのが毎年4月の初旬に行っている小屋の偵察。
以前はこのように5mほどの高さのある部分の屋根の一角が見えているくらいが適当でした。(2017年4月3日撮影)

2015年4月2日
だいたいの年はこんな風に小屋はほぼ雪に埋まっているものでした。

初めて、極端に雪の少ない状態を目にしたのは2016年
それ以来、多い年、少ない年はありますが、少ない年の頻度が高くなっている気がします。

そして、今年・2023年の4月3日はこんな感じ。
テラスの床面が出ているのは初めてのことでした。
というわけで、この時から小屋の水不足対策は考えていたわけです。
気候のことは難しいので、我々が安易にああだ、こうだとは言いませんが、こうした定点観測は重要なデータになってきそうですね。
この偵察は小屋から上高地まで山スキーで行くので、仕事としても楽しいものだったのですが、残念ながら今年は極端な雪不足と分かっていたので、スキーでは行きませんでした(涙)
この先も山スキーが使えないなんてことがないことを祈るばかりです(笑)