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天狗の頭プチ周回コース & 天狗沢遭難事故の原因

週が明け、少し客足も落ち着いたので休憩時間をもらって間天のコル~天狗の頭~天狗のコルのプチ周回コースへ

間天のコルへ登るルートは県警や遭対協の隊員が遭難事故の多い間ノ岳へ岳沢から登る最短ルート(天狗の頭をショートカットできる)としてたまに使うか、モノ好きな小屋番が通るくらいのルートです。

一般登山者にはあまりメリットのないコースですが、天狗沢を登って「ここ面白い、俺ここ好きかも!!」と思ったら、次は間天のコル経由で行ってみるのもいいかもしれません。

下部はいつものお花畑
第4お花畑までは通常コース、ここから左手のガレ場へ移動します

ガレ場の標高差は250m。安息角ギリギリで積み重なった岩石は、足の置場を間違えると足元から岩雪崩を起こします。山の総合力を鍛えるには最高のフィールドかも!!

コルの手前までくると、斜度もひと段落、ウラジロダテの白い花の先には間ノ岳の尖峰がカッコいい

通常の縦走コースに合流し、天狗の頭の逆層スラブを登ります。

まだ岩が濡れていて、滑りやすいことこの上なし、気をつけましょう。しっかり三点支持で足元が滑っても滑落しないように

天狗の頭からはでっかい奥穂高岳が聳えます。
縦走の方はまだまだ先が長いですね。今日はこの先のロバの耳付近で死亡事故が起きています。これで岳沢界隈の死者は7人目…、今日の方は落石を受けて滑落して亡くなったようです。
ロバの耳と馬の背の間の通称:ブタの背というところは落石の多いところです。気を付けてください。

さて、ここから本題

先日の天狗沢での死亡事故を受け、「なぜ、間違った方向へ進んだのか?」、遭難現場は普通にコースを歩いていたら、絶対に気が付かない場所、ということは発見者も間違ってそっちへ行った??
どうにも腑に落ちない気がして、今日は検証しながら下山しましたが、その原因が分かりました。

この矢印の岩がなんらかの原因でズレてしまっていたようです。

少し先にある白ペンキの〇印に気が付かずに左へ折れたのでしょう。
天気が悪く、視界が利かなければあり得ることだと思いました。この石がいつから違う方向を向いていたのかは分かりません。今期もスタッフが何度も通っているけれど、特段違和感を感じたことは無かったのですが、それは正しいルートを知っているから気が付かなかっただけのかもしれません。
今回の事故には少なからず申し訳ない気持ちになってしまいました。
とはいえ、登山者の皆さんもそういう悪条件下の目印などを100%正しいと信じ込まずに、GPSアプリを利用するなどして、自分の現在位置が正しいか常に確認しつつ行動いただければと思います。
この岩を元の場所へ戻すには重すぎたので、下に落として矢印が見えないように処理してきました。

改めて、亡くなった方のご冥福をお祈りいたします。
またこの天狗沢上部ルートを通る方は、岩がちょっと動いていただけで命を落とす危険があるような場所であることを頭に入れつつ、楽しんでいただきたいと思います。