2025年の営業について
2025/10/09
お久しぶりです、森男です。
今年の紅葉は素晴らしいと聞いては、この目で見るしかない!と思い、先日休憩時間に天狗池方面へ行って参りました。
紅葉の詳細は、他小屋の諸先輩方がブログで取り上げておりますので、そちらを参照ください。
今回の槍沢のブログではあえて触れません!(笑)
槍沢ロッヂ周辺の黄葉ピークはこれからです。10月11日からの3連休にお越しのお客さまはぜひ楽しみにいらしてください!
ということで、今回のブログでは槍沢の今昔と題して、最近関心をもったことについて紹介します。
小屋番になってから、廃登山道や小屋跡の話を聴く機会が何度かあり、個人的に気になって松本の古書店で昔の登山ガイド本などを買ってきました。
何冊か購入したうちの一部を紹介します。
左から
日本アルプス登山案内 岩波書店 大正6年発行
マウンテンガイドブック 上高地・槍・穂高 朋文堂 昭和29年発行
大正6年というと、槍沢ロッヂの先代である槍沢小屋がババ平に建設された年の前年にあたります。
なのでこの本には主に岩小屋(雨がしのげる程度の天然の岩陰など)に幕営して槍ヶ岳を登るルートが紹介されています。
ちなみにこれらの岩小屋は現在もあります。
あのW.ウェストンも泊まった赤沢岩小屋 槍沢ロッヂからババ平へ向かう登山道脇にありますね。
こちらは大正のガイドブックに掲載されている主要な登山ルート図です
今の地図では載っていない登山道を使用したコースがいくつか紹介されています。
槍沢~槍ヶ岳に関連するコースに注目して本書から抜粋してみます。
安曇野から槍ヶ岳へ:常念乗越から一ノ俣谷を降りて槍沢へ合流し、槍ヶ岳へ
中房から槍ヶ岳へ :東大天岳から二ノ俣谷を降りて槍沢へ合流し、槍ヶ岳へ
一ノ俣谷、二ノ俣谷ルート共に現在は廃道となっていますね。
理由には、喜作新道の整備や上高地へのアクセスが格段に向上したことが挙げられるそうです。
朋文堂のガイドブック(昭和29年)を見ると二ノ俣谷ルートは既に荒廃が進み、通行はできないと記載がありました。40年後のこの時点で既に廃道同然になっていたようです。
また、「槍沢雪渓」と呼ばれる雪渓も登場しており、大正時代には7月下旬でも大曲から上部に雪渓があったことを知りました。現在は7月下旬には雪渓どころか雪は残っていないです。
槍沢ロッヂ(槍沢小屋)に関する記述もありましたので紹介します。
今ババ平に残っている石垣は雪崩の防波堤なんですねー
その後、槍沢小屋は火災など度重なる不運に合いまして、移設され現在の場所で槍沢ロッヂになっているわけです。
ちょっとマニアックな話題なので控え目にしましたが、北アルプスの歴史と登山道や山小屋の変化を遡ると感慨深いものがあります。またいつか他の山域や小屋の事についても紹介できるかも?
それではまた!
おまけ:10/6の横尾尾根の色づき