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アイゼンとチェーンスパイク

予約の電話もいったん落ち着き、かかってくる電話の8割がアイゼンとチェーンスパイクなどの装備についてになっています。電話ごしに相手の技量を図って一つ一つ返答していくのは咄嗟には難しいので、私見ではありますがここに考えてることを書いておきますので参考までに👍️

まず、靴について。ちゃんとした登山靴は接地面に対して点で使うことができて、トレランシューズは面でとらえるものだと考えてます。トレランシューズは母指球から爪先で接地面とらえて転がすのに本領を発揮する靴だと思います。

同様に、通常のアイゼンも雪面を点でとらえることができますが、チェーンスパイクは雪面を面でとどめようとする道具です。

アルプスの森林限界上の雪斜面の勾配はだいたい雪面を点でとらえる必要があります。ずっと雪面を点でとらえて歩き続けることは大変なので、登山靴で点で蹴り込み地球に対して水平な面を少しでも広げて歩いていきます。これがキックステップです。

キックステップの跡

柔らかい、面でとらえるのが得意な靴ではこれができません。なので登山靴が利に叶っています。登山靴でキックステップをして面を作ればバランスがよくなり、歩く負担は減りますが、それでも雪面をどこか点でとらえておく必要があります。なのでアイゼンを使います。チェーンスパイクでは面のかすかなひっかかりはありますがやはり滑るし、1歩の少しの滑りが積み重なれば疲労を大きくします。

急斜面のトラバースは点かつ面で雪渓をとらえる必要があり大変なので、我々が雪切りをして面を作ります。ただ2、3日雨が連続で降ると面がなくなってしまうので、しっかりと点と面で自分自身で歩いていく必要があります。点でないと止まらないので、滑り落ちると止まりません。だから点でとめれるピッケルが必要になります。

トラバースの接地面

現時点の槍沢ルート上部ではまだ、雪面を点で捉えられる道具が必要です。登山靴・アイゼン・ピたッケルが全コンディションに対応できる組み合わせになります。晴れが数日が続いており、アイゼンが問題なく使えればピッケルはストックでいいと思います。梅雨が空け、雨が頻繁に降らなくなったら面で使えるものが活用できますが、まだもうちょいかなって感じです。

あくまで登山学校の先生でもガイドでもない私見ですので😁いろいろ試したり、考えたり、登る前からひとつの楽しみとして捉えて頂ければ👍️

またちょくちょく登山道状況をみて報告していきます。