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2026/11/06
ニュース等でご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、今日は重太郎新道で行われた救助活動のお話です。
10月29日のブログで書かせていただいた、朝に穂高岳山荘を出発し、17時に泊まれますかと電話してきた登山者、その方、結局その日に行動不能になり、夜に警察へと救助要請をしたそうです。
警察の方々がどのようにして命を救ったか、広く世に知っていただきたいので、詳細を書かせていただきます。
以下警察発表より
29日に奥穂高岳から下山中、標高約2700メートルの前穂高岳付近で行動不能となり、午後11時半前、本人から「疲れと寒さで動けない」と110番通報がありました。
警察は一晩ビバークするよう男性に指示し、30日早朝から警察や長野県山岳遭難防止対策協会の隊員が6人態勢で捜索に向かいました。そして、午後5時半ごろ、男性を救助し、近くの山小屋に収容しました。

その日、警察の方々は地上からのアプローチとなったため、早朝3時起き、4時に朝食を取り、その後公用車のタイヤがノーマルタイヤだったために、念のためスタッドレスタイヤに履き替え、松本署を出発。
当日の天候は朝から本降りの雨、小屋の最低気温は2℃、上部は岳沢パノラマ付近より上部は雪だったそう。

上高地まで車を飛ばし、岳沢小屋へと登ってきたのは9時半すぎ その時点で皆ずぶ濡れ、遭難者がどのような状態かわからないため、フィックスロープを張って背負い搬送できる装備を各人が携行し、食料やビバーク装備なども携行 1人20キロ以上の装備があったでしょう。小屋で最低限のカロリーを補給し、現場へと出発。上部遭難者との接触は雷鳥広場付近にて、11時前。めちゃくちゃ早いですよね。
最初は遭難者も自力で非常にゆっくりと歩いていたそうですが、途中からは歩行不能になり、岳沢パノラマを下りはじめた時点で背負い搬送に切り替えたそう。要所要所ではフィックスロープを張ったり、確保したり、安全最優先で、下降してきたことでしょう。
日暮れが迫る中、16時、我々小屋スタッフにも出動要請が入り、荷物持ちとして、現場へ 最初のハシゴ手前で接触、遭難者の方は70キロはありそうな体つき、交替で声を掛け合いながら、土砂降りの中、必死で背負い搬送する皆さんとの再会、涙がでそうでしたよ。


交替で背負い搬送しながらも、遭難者のザックや、自身のザックなどもあるため、背負うのを交替しても、びしょ濡れの20キロを超える荷物を背負う必要があり、ろくに休むこともできない状況のなか、遭難者にもう少しだよ~!がんばれがんばれ!と声をかけながらの救助活動。本当に頭が下がります。
小屋に収容したのは17時半頃、すでにあたりは真っ暗。遭難者は体温31℃ 低体温症です。衣類を脱がせ、乾いた衣類に着せ替え、ストーブをガンガンに炊き、ペットボトルに入れたお湯で各所を加温 最初は意識がもうろうとしていた遭難者も、1時間ほどでようやく平熱にもどり一安心。
警察の方々もようやくご飯にあり付き、2名の隊員を残し、4名は暗闇の中、上高地へと下山していきました。
警察の皆さんももちろんずぶ濡れで、手足をガタガタと震わせ、ストーブにかじりついていました。みなさんも軽い低体温症だったことでしょう。本当におつかれさまでした。
1人の方が温かいご飯を食べながら、「天国はここにあった」と言っていました。
翌日

天候が回復したため、ヘリコプターにて救助し、搬送することに。回復してくれて本当に助かりました、寒気の影響ですっきりとは晴れず、ギリギリまで、上高地まで背負い搬送という案もあったので。
隊員さんがヘリコプターからホイストで下降してくるときは本当に感動しました。まるで映画のワンシーン

非常に風が強い中でしたが、パイロットさん、上手にホバリング姿勢を保ち、無事に収容していってくれました。収容後、地上の隊員さんたちがヘリにいる仲間の隊員に手を振る姿が印象的でした。

その後、2名の警察の方々も下山されていきました。
警察、長野県山岳遭難防止対策協会の隊員8名、 ヘリコプターにて救助にあたった方4名? その他にも山小屋スタッフ、警察の事務方の人など、合わせれば20名近い方々が、一人の命を救った10月末の遭難事故でした。
警察の方々の救助に対する並々ならぬ熱意には、本当に感動しました。きっと普段の救助訓練は今回の比じゃないくらいに、厳しいことをやっているんだろうなと実感させられました。

あんな場所からあの天候の中、松本から駆けつけて、瀕死の人間を救い出して、颯爽と下りていき、警察としての通常業務をこなしながら、また新たな遭難事故に備え、準備し、何かあれば一目散に出動する。本当にお疲れ様です。まるで映画の世界、これが現実に警察の皆さんが行っている救助活動です。
こちらの遭難者、最後にとんでもない捨て台詞をはいていったそうです。岳沢ヘリポートにて、警察の方と救助ヘリを待って待機している時に、こう言ったそうです。
「この山には魔物がいる・・・」
自分のせいで遭難しているのに、それを山のせいにするなんて、あり得ないでしょう ましてや、その言葉、自分を背負って、必死で担ぎ下ろしてくれた人に対して言う言葉じゃないでしょ 感謝の言葉 あの状況ではそれ以外に言うべきことなんてないはずです。
ちなみにこちらの登山者の装備ですが、ヘッドランプなし、防水機能が明らかに保たれていない雨具(穴あき)でした。 一晩のビバーク時は手持ちのバーナーで暖を取っていたそうです。
遭難事故はいつ誰にでも起こりうることだと思っていますがしかし、防げる事故もいっぱいあるのも事実。これから山は雪山となり、救助活動がより厳しい条件になっていきます。自分はこのようなことにはならないよう気を付けたいものです。 とにかく警察の方々のがんばっている姿をぜひ知ってもらいたいと思い、今回のブログを書かせていただきました。最後までお読みいただきありがとうございました。