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震える山

スタッフ片木です。
天災という、意図せぬ形で注目を浴びてしまい、アクセス過多により長らくのサーバーのパンク状態に陥り、ロクな更新もままなりませんでした。
槍ヶ岳山荘に野良猫のごとく居着き、早10年となりますが、また忘れられない出来事が1つ増えました。

震央は槍ヶ岳直下。以降は穂高方面でも散発。

9/19(日)17:18、地震が発生した当時は忙しい夕食時でした。
悪天で今ひとつだった連休前半の仇を取るべく、久しく無かった忙しなさに追われる心地よさを抱き、業務に励む矢先の出来事でした。
本震は激しい縦揺れと共に大きく2回、数拍の間を開け起こり当時、私のいた厨房では普段から数多の機材がところ狭しと並んでいるのですが、よく見るTV局のデスクの様にしっちゃかめっちゃかになるようなコトもなく
煮炊きに使用していたガスも既に振動感知で停まっておりました。
ただ恐ろしかったのが、山荘の飛騨沢側直下で発生した岩雪崩の轟音が延々に鳴り止まなかったコトと穂先で散発した落石でした。
しかし、本当にこれは不幸中の幸いと呼ぶほかないのですが。

・登山者の行動があらかた終わり、かつ大半の人間が小屋およびその周辺に落ち着いていた。
・さらにそれに拍車をかけるように発生時刻が夕食時であった

やはり、同様に秋晴れの賑わい最中に起きた御嶽噴火と重なるモノはありましたが
上記の2点に本当に助けられた気がします。
さてもう一つの幸運として山荘近辺の一部を除き北ア南部全体でみても登山道に大きなダメージが無かったコトも挙げられ、登山者に行動制限をかけることなくスムーズに帰途についてもらえ、ひとまず安堵できました。

槍ヶ岳山荘~ヒュッテ大槍間で登山道の崩落現場。
赤線は本来の道。残念ながら当面復旧の見込み無しです。
一方、山荘より1500mほど下、西鎌尾根でも巨石がズレ落ちました。
こちらはさしたる影響なし。

また途切れ途切れに情報が入り、少しずつ被害の全貌が明らかになる過程で、流言飛語による集団のパニックもまた恐れていたのですが、当時200名ほど集まっていたにも関わらず、多少のざわめきはあったものの居合わせた人々は皆、恐慌や混乱とは無縁に、終始冷静さを保ち、私の不安は肩透かしを食らう程の杞憂に終わりました。
コレらは幾多の災害より、他者への配慮を始めとする様々な教訓を得てきた国民性のおかげかと思うと内心感動を禁じ得ず、改めてこの商売は多くの方々の理解と良心により成り立つものだと実感しました。