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9月1日 北鎌尾根への警鐘

去る8月29日の朝、疲労困憊にて辿り着いた登山者が居ました。

その方は26日ヒュッテに宿泊し、北鎌尾根へと向かった単独登山者でした。

27日夜には家族からも松本警察署からも行方不明の問い合わせの電話が入っていた登山者だったため、至急家族と警察に連絡させ事情を聞きました。

27日早朝ヒュッテを出発、貧乏沢を下降して天上沢から北鎌沢右俣を登り出したまでは良かったが、右俣2200m付近の沢の分岐にて左の沢を登った(本人の説明による)

ようで行き詰まり試行錯誤を繰り返した後、懸垂下降2P(以前、私に電話した時に、「懸垂下降位は出来るようにしてから」と言われたためザイルと講習も受けた事でザイルも持参、懸垂下降も出来たようです)したあたりで夜が更けビバークする事に。

28日朝から雨、北鎌尾根は諦めて天上沢へ下り引き返す判断にて、貧乏沢を登り返すも、再び道迷いとなりビックリ平下部の草付きにて夜更けとなり2ビバーク目。

強い雨の中、びしょ濡れのツエルト1枚でのビバークは心身ともに疲れ、「このまま死ぬかも・・」とまで思ったようです。

それでも何とか持ち応え29日朝ヒュッテまで辿り着き「生きてて良かった、助かりました。」という話ですが

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昨今、良くある電話に

「北鎌尾根に行きたいんですが、大キレットも行ったし西穂~奥穂も行ったし、剣岳も行ってるから私でも登れますか?」とか

「北鎌尾根のDVDも見ました、友人が登りました、ネットで記録も読んでます。今度行きたいと思ってます」のような話をされたりと

このような電話で私に「大丈夫です」って言ってもらいたのか良く解りませんが、

そのような人には「辞めて下さいあなたには無理です、行くならガイドさんと行って下さい」と一喝します。

北鎌尾根には踏み跡はありますが、登山道はありません、もちろんペンキマークや道標もありません。

全て自分で登れるところを探し、見極め、通過したところがルートとなる、それこそがバリエーションルートのバリエーションたる由縁です。

ネットの記録やDVDの解説や危険と言われている一般登山道を歩いた事があるから、もう行けるというレベルの場所ではありません。

北鎌尾根を目指すなら、体力はもちろん要りますが

何よりもルートファイディング(登れる場所か、登れない場所か?を見極める能力)を自身の経験によって身に付けた登山者のみが、登る事を許される場所であるという事を再認識して下さい。

本当に登りたいと思うならもっと多くの経験(登山道を歩くだけの登山では駄目、沢登りや岩登り等の登山道ではない山行を何度も繰り返す事)を積んだ上で初めて北鎌尾根にチャレンジできる資格があると思って下さい。

そうでなければ著名なガイドさんをお願いする事です。

昨年は死者1名重傷者2名

今年は既に死者2名、重傷者1名、無事救出1名、行方不明者1名(登山計画書では北鎌尾根となっていますが確定できずの行方不明)

事故は全て単独登山者によるものです。

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これから秋の連休や登山計画にて「北鎌尾根」をと考えてる皆さん、自身がそのレベルにあるかどうか再考をお願い致します。

これ以上の遭難者を出さないためにも